・家父長制の否定と住宅の狭小化に追いやられた父親の書斎建築史が示すように、我が国の伝統的住居では家父長的空間利用と接客・儀式空間の重視がその特徴でした。その意味では、父親の場あるいは部屋は住空間の主要な構成要素であったといえるでしょう。しかし、第二次大戦後の民主化の過程でそうした封建的色彩が住まいの中から払拭されるという状況と、とにかく戦災からの復興を急ぐために狭小な都市住宅が大量に供給されたという状況の中で、父親の部屋はその場を失うこととなりました。・父親の個室の普及では現在の住まいにおける父親の個室の普及率はどの程度でしょうか。住まいにおける父親の空間の研究は非常に少ないのですが、北浦らの調査では一六%という数字が報告されています。あるいは町田と坂田では三三%の父親が個室をもち、個室に替わる空間(寝室など)を含めるとその保有率は五七%となります。最近父親の場を系統的に研究している三重大学の中島喜代子によれば、専用個室を持っている父親は二六%ですが子どもが高校になる年代では四○%近くになります。また、個室までいかなくとも専用のコーナーの保有になると過半数になります。更に詳しく調べるなら、←こちらがお勧めです。他方、北浦らの調査では机の所有率は三六%と低いですが、これは父親の年齢がやや低いためとも思われます。このように、従来の書斎に対応する専用個室では三割前後ですが、寝室も含めるなら過半数の父親が部屋をもっていることになります。こうした保有率を反映しているのでしょうか、父親が家の中で自分のなわばりとして認識している場所は「居間(四二%こ「寝室(三三%)」で、書斎をあげる人は一三%です。

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